ハーブとともにナチュラルライフ
剛谷 哲司(こわたに てつじ)さん
家族構成:妻・長女
1. 移住までの経緯
海外勤務時代に出会ったハーブ
以前は東南アジアでサラリーマンをしており、現地で妻と娘と一緒に暮らしていました。当時三歳だった娘の成長とともに日本での生活を考えるようになり、将来について思い悩んでいた時期がありました。
そんな頃、娘が風邪をひいた時に現地の知り合いの方からハーブを勧められ、試してみたらとても良かったんです。この時は薬の代わりとして教えてもらいましたが、実は東南アジアでは毎日の食事でも当たり前のようにハーブを頂くんです。日本でいうお漬物のような感覚ですね。彼らにとってハーブは、献立のアクセントや栄養バランスの調整、そして薬の代わりなど、なくてはならない大切で身近な存在なんです。
一般的に言われるハーブの定義は、”香りが良くて、人の役に立つ植物”。そんなハーブが身近にある暮らしを、日本にも浸透させることができないかと思ったのがきっかけで、日本でハーブ農家をやりたい、という決意に至りました。妻が元看護師なので、ハーブなら彼女のキャリアも生かすことができるかな、ということもありましたね。ただ妻本人は最初「農業は大変」と私の心配をしてくれていましたが…でも元々私は体育会系出身なので体力面での不安はありませんでした。
色々話し合った末、最終的には夫婦の総意で決意を固めました。
一年間の農園修行と、独立地として選んだ南知多
ハーブ農家とは言ったものの、当然我々は素人なので何から始めれば良いのかもわからない状態。まずは勉強をと思いインターネットで日本の農業やハーブについて情報収集していたところ、たまたま静岡のハーブ園で研修生を募集していました。これだと思い、勤めていた会社を辞め、一家で帰国。静岡に引っ越し一年間勉強を兼ねて働かせてもらいました。
そして一年間の修行期間を経て、さあどこで独立しようと愛知県内に住む知人に相談したところ、南知多を勧めてもらったんです。私の地元が名古屋で、南知多からは車で45分ほどの便利な距離。そして、何よりも南知多の温暖な気候がハーブに向いている。色々な条件が揃っていたので、縁があったのだと感じています。実際の農地は色々と探し、耕作放棄地と呼ばれる土地を利用することにしました。
住居に関しては、当時も空き家バンクという制度はありましたが、もっと多くの物件が見たいという思いもあり、車で直接町を回りました。良い感じの家が空いているな、と思ったらその場で飛び込みで近所の人に聞いて探しました。幸い希望する物件に出会えたので頑張った甲斐がありました。
2. 現在のワークスタイル
卸業からスタートして、体験型の農園開業へ
現在の主な仕事はハーブティーへの加工販売です。育てたハーブを収穫、裁断、乾燥させ、専門の業者さんにティーパックの形にしてもらいます。最初は飲食店などへの卸販売のみでしたが、その後直売所への委託販売や、マルシェやイベントなどへの参加など、少しずつ広がっていきました。名古屋市内の百貨店の催事に参加することもありますよ。
そんな折、お客さんから「農園が見たい」という声をもらい、1年間の準備期間を経て2016年から「ハーブ農園RICCO」を開園しました。農園ではハーブティーやエッセンシャルオイルなどの販売の他に、リースやスワッグ(壁飾り)作りなどの体験を行なっています。お客さん用の椅子やテーブル、商品の販売スペースなどは色々な方の力を借りながら自分たちで手作りしました。現在はハーブティーやフレッシュハーブなどの卸や委託販売などと並行して、農園に来てくださるお客さん向けにも農園を営業しています。
私たちの仕事はサラリーマンとは違い決められた就業時間に縛られることはありませんが。常に育てているハーブと共にあります。天候にも左右されるし大変なことも多いですが、やっぱり好きで始めたことなので、やりがいは大きいです。
3. 南知多での夢
夢はカフェオープン!
「ハーブ農園RICCO」は品種の関係で4月末から10月末までの夏季のみの営業なので、それ以外の時期にもハーブを楽しんでもらえる場所をつくりたいと思い、2018年に向けてカフェのオープンを計画しています。
近所の方に物件を紹介して頂き、中庭付きの素敵な古民家を借りました。自宅も兼ねているので改装もできるだけ自分たちの手で、内装にもこだわって頑張っている最中です。オープンしたら美味しいランチと一緒にリースやスワッグ作り体験を楽しんでもらいたいですね。雰囲気を大切にして、充実した癒しを提供できる空間作り目指しています。
カフェ経営のノウハウはまた一から勉強ですし、まだまだ色々とクリアしなければならないことは山積みですが、私たちが当初から大切にしている「ハーブを通して人の心を“豊か”にしたい」という想いを持ち続けていれば、頑張っていけると信じています。
「ハーブ農園RICCO」の”RICCO”は、イタリア語で”豊か”という意味なんです。ミチタリタ ミナミチタにぴったりでしょ!
4. 移住へのアドバイス
南知多は“ちょうど良い田舎”
もともと私たちは夫婦ともにフットワークが軽く、引越しで様々な土地を渡り歩いてきました。その中でも南知多は特に住むのに心地良いです。具体的にいうと、“自然と利便さが共存した町”といった感じでしょうか。地元の方は「こんな田舎〜」と謙遜されますが(笑)。
海もあれば山もあって、田畑も美しい、そして更に島もある。とても贅沢な自然環境です。一方で病院や学校、スーパーも不便でない位置にきちんとあるので、不自由さは全く感じません。たまに都会の空気を吸いたくなる時もありますが、例えば名古屋へ遊びに行こうと思えば車で一時間かからない。行きたくなったらすぐに行けるんです。
そうなると、住むのはここ(南知多)でたまに名古屋に遊びに行くくらいが、身体にも心にも良いかな、と私たち家族は感じています。
大切なのは気構えないこと、現地に足を運ぶこと
とにかく、あまり気構えずに飛び込んできてほしいと思います。ご近所づきあいや地域の行事への関わり方を気にしている方もいるかもしれません。確かに都会よりは大切にしている印象はありますが、どこへ行っても人付き合いは必須だと思うので、そんなに心配しなくて大丈夫。むしろ子供がいる私たちにとっては、近所の皆さんが娘の顔と名前をすぐに覚えてくれることで、とても安全を感じます。子供のためを思えば、本来近所づきあいは密なほうがメリットが大きいですよ。私たち夫婦だけでは教えてあげられない色々なことも、毎日いっぱい教わって帰ってきてくれますしね。
また、移住に関わる情報収集はインターネットだけでなく、実際に足を運ぶことが大切だと思います。その土地の人と触れ合い空気を感じながら一つずつ決断していくことで、本当の意味で移住先に馴染んでいけるものだと思います。
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